※光路の中に「六角形氷晶のプリズム面をひとつ飛ばしする」経路がある現象は、氷晶が三角形であればあるほど(もしくは氷晶のc軸/a軸比が大きいほど)明瞭になる特徴がある。その氷晶形状の恩恵に大きく与るのがカーンとオウナスヴァーラということになる。
①カーンは底面(1)に入射→プリズム面(3)反射→プリズム面(5/7)から出射して観測者に届く。
②オウナスヴァーラはプリズム面(3)に入射→プリズム面(5)反射→底面(1/2)から出射して観測者に届く。
太字で書いたところが「六角形氷晶のプリズム面をひとつ飛ばしする」部分の光路である。
カーンアーク
別名
英名 Kern arc
氷晶 三角柱状
配向
光路
環天頂アークが描く弧は約120度ほどで完全な円とはならない。しかしこのカーンアークは環天頂アークの不足部分を補うように同半径の円を描く。
氷晶が三角柱に近いほどそれは鮮やかに現れる。
以下にカーンアークと環天頂アークの光路を示す。カーンアークの光路は、環天頂アークの光路にプリズム面一回反射が加わったものであるが90度プリズムという本質は変わらない。この画像から視覚的にカーンアークと環天頂アークの関係性が理解できると思われる。
※図で太陽より46度上と書かれていますが、実際は46度以上上にあります。外暈ではなく上部ラテラルアークと接します。
観測例
The Halo Vault より
Kern arc photographed in Finland 27.1.2008
Intense Kern arc from China 18.2.2020
Atmospheric Optics より
映カーンアーク
別名
英名 sub Kern arc
氷晶 三角柱状
配向
光路
映環天頂アークが描く弧は約120度ほどで完全な円とはならない。しかしこの映カーンアークは映環天頂アークの不足部分を補うように円を描く。
氷晶が三角柱に近いほどそれは鮮やかに現れる。
※図で映日より46度下と書かれていますが、実際は46度以上下にあります。反射型上部ラテラルアークと接します。
観測例
The Halo Vaultより
Spotlight sub-Kern in diamond dust in Hyvinkää 6.1.2009
環水平カーンアーク、映環水平カーンアーク
かなり光量は弱く、相当三角板氷晶が豊富でなければならないため、未だ観測されたことはない。
地平線下に対応するアークは映環水平カーンアークである。
オウナスヴァーラアーク
5度、20度
別名
英名 Ounasvaara arc
氷晶 三角柱状
配向 パリー
光路 4→8→1
環天頂アークより天頂側に現れる2対のアークで、太陽高度約30度以下、マイナス数度までで見られる。更に向日側に伸び、交差するエクステンションと呼ばれるものが現れることがある。
上の動画は太陽高度-20~30度の範囲で5度刻みで変化する様子である。
12種のコンポーネントがあるようだが、観測されているのはこの1つだけとされている。
観測例
Another halogen lamp display from Rovaniemi 1.12.2007
A halo from Parry oriented crystals with raypath 4-8-1 11.12.2008
A major spotlight display with possible 4th Tape arc component 25.10.2016
Halos on 6th March 2017 in Rovaniemi
10.10.2017