通常の大気光学現象は、その光源が太陽等であり、言葉通り天文学的な距離があるため光はほぼ平行となっている。
ここで紹介するのは街灯等の人工光が光源となるときの現象である。平行光ではなく拡散光のため、光源と観測者の距離によって大きく形が変わるなど、振る舞いが独特なものになる。(そのことから3D halosとも呼ばれ、またspotlight halos、点光源ハロとも呼ばれる。)
22度ハロ
拡散光による22度ハロは視半径22度より少し小さく見える。これは、拡散光による22度ハロは"minnaert's cigar、ミンナルトの葉巻"と呼ばれる立体上の氷晶で現れるためである。以下にミンナルトの葉巻についての画像を載せる。
・緑の線(立体)上に氷晶があると22度ハロを引き起こす
・オレンジの線は22度ハロを作る光
左図は通常の22度ハロと拡散光による22度ハロの光路の違いを示す。このことより大きさに違いが現れるのが視覚的に理解できると思う。実際に通常の22度ハロと拡散光22度ハロが同時に出現したときの写真を紹介しているリンクを載せるので是非見てほしい。
右図ではミンナルトの葉巻を考慮した拡散光22度グラウンドハロを表している。緑の立体の断面が現象として現れるため、歪んだオレンジ色の円の部分にそれは見えるだろう。実際に歪んだ円として観測されたリンクを下に紹介するのでこちらも見て欲しい。
観測例
Ursa より
※月と街灯の22度ハロ
Diamond dust display with a possible new halo 1.1.2008
※拡散光22度ハロのグラウンドハロ
Divergent light 22° halo on snow surface 12.2.2010
上部タンジェントアーク
街灯にライトピラーが現れ、その上部が左右に放散するような見た目になることがある。その正体は拡散光による上部タンジェントアークである。
拡散光22度ハロの「ミンナルトの葉巻」のように、上部タンジェントアークにも同じような「立体」が存在する。
※その見た目からトランペットピラーとも呼ばれることがあります。
観測例
Atmospheric Opticsより
Light Pillars with a difference
幻日、幻日環
上の図に拡散光によるP0幻日・P1超幻日・P2映幻日(※焦線)、C0幻日環・C1超幻日環・C2映幻日環、及びL1~3光柱を示す。非常に複雑な立体上に現れる。
(6.9.2010 「Streetlight Halos」 Walter Tapeから)
通常の現象とは似ても似つかない形になっているため理解しにくいだろう。更に困惑させるのは超幻日等のような拡散光にのみ現れるハロだ。
超幻日(superparhelia)は光源から両側斜め上に長く伸びるアーク状の見た目で、映幻日の光路を上下反転したような光路をとる。(例:プリズム面3→上底面1→プリズム面6)
観測例
Ursa より
※光源が地平線上、下両方のときの超幻日等を写真で紹介している。
Divergent light curiosities 6.1.2009
Colored superparhelia 5.1.2009
Observing diamond dust halos at the Bílá ski centre 9.2.2017
Atmospheric optics より
Superparhelion Divergent light halo
超ボトリンガーリング
観測例
New halo in elliptical halo / Bottlinger family 10.1.2010
他の様々な拡散光によるハロ
こういった実験で様々な新しい現象が見つかっているが、その時に現れる現象は全て「拡散光によるハロ」と呼べるだろう。つまり拡散光によるハロは最早一般的であり、超幻日等のような特殊な現象以外は実はわざわざ個別で紹介するまでもないぐらいありふれている…
なので個別に紹介しきれなかった拡散光による現象を以下にまとめて、それが写った画像が載っている外部リンクを紹介する。
観測例
The Halo Vault より
※拡散光による光柱、22・46度暈、上端接弧、映日、幻日、幻日環、映幻日、映幻日環、シュルテス弧、太陽弧、環天頂・天底弧等
Some spotlight stuff from a bridge 30.3.2017
※拡散光によるパリー弧、ラテラル弧、テープ弧、映日弧、モイラネン弧、ヘースティングス弧、ウェゲナー弧、トリッカー弧、ディフューズ弧等
Cult of the Natural? 17.2.2018