ここでは平たいピラミッド型氷晶(170-176度)によってできる現象を紹介する。どうやらこの形の氷晶は楕円形の現象を引き起こすとされているが、稀なために詳細は未だ不明である。
※楕円ハロやボトリンガーリングを作り出す氷晶をここでは「平たいピラミッド型氷晶」として説明及び再現している。しかし実際のところ、氷晶は結晶学的に170-176度という角度の面を作るのが難しいとされており、現にそういった形状の氷晶のサンプルは見つかっていない。そのあり得ない角度を作り出す氷の物質の有力な候補の一つとして、扇状結晶等の雪結晶が現在挙げられている。
楕円ハロやボトリンガーリングの共通の特徴として、出現時間の短さと形状の経時的変化がある。これは形状が比較的安定で均一であることの多い氷晶では考えにくいものであり、形状にバラエティがある雪結晶の特徴を暗に示しているのかもしれない。
楕円ハロ
別名
英名 elliptical halo
氷晶 扁平ピラミッド型
配向 プレート
光路 外部 13→23
中部 13→24/28
内部 13→25/27
太陽周りに現れる楕円のハロ。古典的にはヒシンクのハロ(縦10度、横5度)とシュレディンガーのハロ(縦7度、横4度)の2つに分けられる。シミュレーションではおおきく外部、中部、内部の三種類が再現されているが実際はより複雑なものと予想される。
視半径は通常のハロに比べて大変小さく、太陽の周りに出来ていても見つけにくい。そのため写真に残っているのは、太陽が雲に隠れている時や光量の少ない月によるものが多い。更に出現時間は数秒~数分と極めて短いことが多い(中には形を変えながら数時間出現し続けた記録もある)ことも観測を難しくさせる要因である。他の特徴として、太陽柱を伴うことが多い。
※類似する現象として楕円花粉光冠があります。通常の花粉光冠は円形ですが花粉の形状によっては楕円の干渉が起きることがあり、楕円ハロと勘違いされることもあります。
また、外接ハロを楕円ハロと呼ばれることがあります。紛らわしいですね。
観測例
Atmospheric optics より
※月周りの楕円ハロ
※月周りの楕円ハロ2
AKM eV より
※楕円ハロの解説
ボトリンガーリング
別名
英名 Bottlinger's ring
氷晶 扁平ピラミッド型
配向 プレート
光路 外部 33→23→1→2→16→26→36
中部 13
内部 13→2→1,1→2→16
映日を何重にも囲う楕円のハロ。しかし観測例は少なく、かつ持続時間は数秒~数十秒と寿命が短いことも相まって詳細は分かっていない。
1909年にドイツゲッティンゲンにてC. F. Bottlingerが熱気球上で初めて観測し報告したことから名付けられた。
シミュレーションではおおきく外部、中部、内部の三種類のハロとして再現されているが、実際はより複雑なものと予想される。
※飛行機で太陽側の席でしたら是非太陽の下を見てみてください。映日や映幻日が見れたらラッキーですが、ボトリンガーリングが見れたら超ラッキーです!(反対側の席でしたらブロッケン現象を!)
観測例
Atmospheric Optics より
Bottlinger's ring 23.3.2010
AKM eV より
The Halo Vault より
Bottlinger's Rings from airplane 19.5.2006
サンピラーエコー
別名 クリスマスアーク
英名 sun pillar echo
氷晶 扁平ピラミッド型
配向
光路
太陽柱の両側に現れる少し湾曲した光柱。いくつかの観測例はあるものの詳細は不明である。
2001年12月23日にフィンランドのコトカ、クーサンコスキ、エスポーで同時に観測されたことから、クリスマスアークと呼ばれる。
楕円ハロの仲間とも考えられているためこのページにまとめたが、広範囲に観測されたこと(楕円ハロは特徴として観測範囲が狭い)や扁平ピラミダル氷晶でのシミュレーションが上手く適合しないことから、異なる氷晶の可能性もある。
観測例
Atmospheric optics より
Sun Pillar Echos 12.11.2010
The Halo Vault より
An unknown halo and other displays by Jukka Ruoskanen 14.4.2008