ブロッケン現象
対日点を中心に何重にも虹の輪ができる現象。光輪、グローリーとも呼ばれる。
(ブロッケン現象は人の影が見えるものを特に指す場合もある)
観測者の後方から射した光が、前方のスクリーンである霧や雲でミー散乱を起こし、その後方散乱成分(つまり観測者へ"反射"した光)が干渉することで起きる。
観測例
Atmospheric optics より
光輪と霧虹 Fogbows & Glories
ブロッケン現象の中心
ブロッケン現象の中心は虹色ではなく、ただ白く輝く。
観測者の後方から射した光が、前方の霧や雲の中にある小さい水滴内に入射し、屈折、反射、出射して光の向きが180度方向を変えて観測者に戻ってくることで起きる。
※通常の計算モデルでは小さい水滴に光が入りこんでも180度に反射せず、十数度ずれて出射してしまう。光が水滴表面に衝突するときに起きる表面波という現象を組み込むことで、光が180度に反射し、結果として対日点に光点を作り出すことができる。
※光輪の中心、光輪、霧虹、光環は名前と位置は異なりますが、全て連続した現象と考えられます!
反射ブロッケン現象
観測者周囲に海や湖など反射する面があるときに現れる。実質反射面に映る太陽が光源となるため向日点中心にブロッケン現象が現れる。
虹でいう反射虹のようなもの。
観測例
Atmospheric optics より
氷晶によるブロッケンピラー
プレート(カラム、パリー)配向時のダイヤモンドダストが発生しているとき、ハロゲンランプ等の強い光源の対日点に現れる光柱。側方に干渉像が見られる。
正体は氷晶が光を屈折・反射させて起きたハロやアークの仲間…ではなく、光が氷晶により散乱・回折・干渉して起きたブロッケン現象の仲間である。散乱させる粒子の形が通常の球形ではなく、水平の六角板であるためブロッケン現象は円ではなく柱状となる。
※粒子径が大きいと回折角が小さくなるという原則(=粒子径が大きいとブロッケン現象が小さい)があります。これは障害物が大きいほど回り込む波が弱くなるのと同じです。
例えば横長の粒子を考えてみます。粒子の横径が長い→光環は横径は小さい、粒子の縦径が小さい→光環の縦径は大きい、よって縦長のブロッケン現象が生まれるのです。
観測例
Atmospheric optics より
ケトレーリング
反射面に均一に微粒子があるときに、反射面に映った光源(映日点)と同高度に一周する何重もの虹の円が現れる。
(例えば、埃の被った鏡やある種の藻が水面に繁殖したときに観測できる)
①粒子によって散乱した後に反射した光②反射した後に粒子によって散乱した光、①と②が干渉することで起きる。
観測例
Atmospheric optics より