光環、彩雲

光環


 太陽や月に雲がかかったときに光源周囲に現れる円盤状の虹色の現象で、光冠・コロナとも呼ばれる。

 光環は雲の水滴による散乱・回折・干渉で起きる。また、水滴の粒子径は概ね揃ってなくてはならない。粒子が小さいほど回折角が大きくなり、大きな光環になる。また波長が大きいほど回折角が大きくなるため、赤色が外側・紫色が内側になる。

 粒子径が不揃いだと回折角が様々になるため白っぽいものになるが、これを特にオーレオールと呼ぶことがある。


 必ずしも回折させる粒子は雲の水滴に限る必要はなく、花粉、火山灰、風塵、土埃、霧でも光環は現れる。


※光輪、グローリーはブロッケン現象のことです!


観測例

Atmospheric optics より

鮮やかな月光環 Lunar Corona, Croatia

鮮やかな日光環 Solar Corona

月のオーレオール Lunar Aureole


花粉光環


 花粉粒子によって回折が起こり現れる光環。種によっては水滴と異なりいびつな形状のものもあるため、必ずしも円形ではなく楕円形になることがある。


 ※粒子径が大きいと回折角が小さくなるという原則(=粒子が大きいと光環が小さい)があるのは光環の項目で説明した通りです。これは障害物が大きいほど回り込む波が弱くなるのと同じです。


 例えば横に長い楕円、つまりラグビーボール型の花粉を考えてみます。花粉の横径は長い→光環の横径は小さい、花粉の縦径は小さい→光環の縦径は大きい、よって縦長の花粉光環が生まれるのです。


観測例

Atmospheric optics より

花粉光環 Pollen Corona

楕円花粉光環 Early Pollen Corona

楕円花粉光環2 Lunar & Solar Pollen Coronae, Russia

ビショップリング


 噴火による火山灰、硫酸塩粒子による回折で起きる光環。太陽周囲は薄く青みがかり、外側は淡い赤色で、視半径20度を優に超す巨大さが特徴。

 1883年にS. E. Bishop牧師がインドネシアのクラカタウ火山噴火のときに初めて観測されたことが由来となる。


観測例

Atmospheric optics より


彩雲


 雲の中の水滴の粒子径が揃っているものの分布が不規則なとき、雲のかかった太陽や月の周りに歪んだ虹色、又は付近の雲の縁や一部が虹色になる現象。

 雲の縁は蒸発/凝結起点であることが多いため、雲の縁に近いほど粒子径が小さい傾向がある。よって縁からの距離で粒子径が揃っていることが多く、縁に沿って虹色に見えやすい。