衝効果、ハイリゲンシャイン

衝効果


 衝効果は上空から特殊な地面、森や砂漠、月・火星・小惑星等の凹凸がある表面を観察すると対日点が明るく見える現象。対日光、対日効果、ハイリゲンシャイン、Opposition effect/glowとしても知られる。

 以下の①~③が互いに関係し合い発生する。

①影隠れ(Shadow hiding)

 対日点は地面表面の岩石や礫、砂、植物のような凹凸の影が最も見えなくなる点である。そのため対日点は実体と影がずれている周辺と比べ明るく見える効果がある。

②干渉性後方散乱(Coherent backscatter)

 透過性、散乱性の高い粒子が地面に多いことで、観測者の背後から来た光が地面表面・地面内部で光の進行方向の反対=後方に散乱し、散乱光が互いに干渉し合って観測者の目に届くこと

③再帰性反射(Retro reflection)

 表面にボックス型・ビーズ型粒子があることで起きる、光が広い照射角に渡り入射光の光路にほぼ沿うように反射する性質。

 岩石内の金属や草に降りた露、交通標識や道路の白線、自転車の反射材で起きる

 

 衝効果とハイリゲンシャインはほぼ同義で使われるが、ハイリゲンシャインは露等で濡れた地面に起きるもの(日本語でいう稲田の御光)、一方衝効果は乾いた地面によって起きるものを指す傾向がある。

 街灯などがない極めて暗い場所で夜空を観測すると、かすかに対日点が明るくなっていることがあるが、対日照と呼ばれる現象である。宇宙空間に浮いている塵などによって起きる衝効果といえよう。


観測例

Atmospheric optics より

砂漠の対日光 Gobi Desert Opposition Glow

影隠れのみで起きた対日光 Shadow Hiding "Glow"

NASA SCIENCE より

小惑星の衝効果 Asteroid Itokawa Sample Return


稲田の後(御)光


 稲田の後(御)光、稲田や芝生の上に露が降りることで上記の衝効果が起こり対日点が明るく見える現象。

 ハイリゲンシャインがこの現象を指すことがある。


観測例

Atmospheric optics より

Holy Light, Heiligenschein