臨界角効果によるハロ


 "Critical angle effect halos" 臨界角効果によるハロとは、色の波長毎の臨界角差のために起きる現象群のことを指し、現在ブルースポット・ブルーサークル・87度拡散アークの三種類が知られている。基本的に青色が支配的になることから「ブルー」という言葉が名に付いている。

 媒質の屈折率はn(Red)<n(Blue)となることを念頭に置くと理解しやすいだろう。

 図を参照


ここに図


ブルースポット


別名 

英名 blue spot

氷晶 六角柱状

配向 プレート

光路 1→3→2


 幻日環や映幻日環に現れる青い部分で、ブルーサークルと関係がある。プレート氷晶で厚いほどよく観測できる。(稀に向日アークやその他反射系アークにもブルースポットが出現することがある)

 なぜ幻日環の一部が青色に見えるか。その答えを知るために、まずブルースポットより向日側の幻日環に注目してみる。向日側は光源側の幻日環に比べ光量がガクッと落ちているのが分かるが、これは氷晶内部での反射の際、入射角が臨界角未満となる=部分反射する光成分が多く含まれるようになるためである。臨界角となる境目がブルースポットで、その臨界角は波長によって異なり、青色光の臨界角が赤色光より小さいことから、ブルースポットが生まれる


 後述のブルーサークルと関係しており、ブルーサークルは対日中心に視半径が64度で、幻日環との交点にブルースポットが現れることから、太陽高度32度までブルースポットを観測することができる。

 また、プレート氷晶の揺れが大きいとブルースポットが斜めに伸び、言わばブルーサークルのなりかけのようなものが現れる。


 上の図では太陽高度30度でのブルースポットを示す。


観測例
Atmospheric optics より

ブルーサークル


別名 
英名 blue circle
氷晶 六角柱状
配向 ランダム、プレート
光路 1→3→2


 対日中心に視半径64度の青色のハロで、スポットライトハロで稀に観測される


 5つ目の図では0~35度間を5度刻みで対日点固定合成したものである(合成の関係上、下半分は映されていない)。このことからも分かるように、ルースポットと大きく関係しており幻日環(映幻日環)とブルーサークルの交点にブルースポットが現れるため太陽高度の変化によるブルースポットの軌跡を追うとブルーサークルが浮き出てくる。 


観測例

Blue circle 15.12.2008

Blue circle and blue spot 18.10.2009



87度拡散アーク


別名 87度ブルーエッジ

英名 87-degree diffuse arc,87-degree blue edge

氷晶 長い三角柱状

配向 カラム

光路 3→5→7


 視半径87度の巨大な青色のアークで、ブルースポットやブルーサークルのような臨界角効果による現象の一種である。だが実際は青色の辺縁が明確に見えることは少なく、ブルーエッジがあるであろう部分より内側(太陽側)のダイヤモンドダストはキラキラと輝き、外側はほぼ輝いてみえない、というコントラスト差として捕らえられることが多い。

 主にスポットライトハロで見られるが、自然光では光源が多少隠れているとコントラストが上がり見つけやすくなるとされる。

 また、この現象が3→5→7の光路によることからも分かるとおり、氷晶は三角柱氷晶のカラム配向に近いほど明瞭になるとされる。


 曲率が真円より強く、ハロ(サークル)ではなく"アーク"であることに注意してほしい。


観測例

※Halo phenomena より

Solar diamond dust display with 87° arc 10.10.2016

※The Halo Vault より

Halos on 6th March 2017 in Rovaniemi

10.10.2017

※Ursa より

Harvinaisia halomuotoja - 12.1.2016 klo 20.51 Rovaniemi


87度拡散ハロ


別名 87度ブルーサークル

英名 87-degree diffuse halo/circle

氷晶 長い三角柱状※

配向 ランダム

光路 3→5→7


 87度拡散アーク(カラム配向)がランダム配向時の姿とされ、観測例はない。