真偽不明の現象

 世界にはスケッチや文章として記録は残っているものの

 ○写真での記録が存在しない

 ○シミュレーションが出来ていない

 ○合理的な説明がつかない

といった「真偽不明の大気光学現象」が多数存在する。


 「眉唾物をまとめるな!」とのご指摘もあるかもしれない。しかし「絶対にあり得ない」とは言い切れないものや、もし書き間違い・見間違いによるものであれば、現代の我々が観測記録を作るに当たってそのミス※を参考に出来る。

 以上の理由より真偽不明であろうとも、紹介・解説することをご容赦頂きたい。


※遠近法、天球図等のような三次元画像を平面に投影する方法がとられていない、別の時間(太陽高度)で記録されたものをまとめてスケッチしている等。


Newtonの楕円ハロ

 情報源不明


35度アーク

 情報源不明

 

映73度幻日

 情報源不明


134度幻日

 情報源不明


liljequistの9度幻日環

 情報源不明


情報求みます!!


Arctowski's arc


 ポーランド人科学者Henryk Arctowskiが1897~99年にかけての南極の航海及び大気光学を記録した「Phenomenes Optiques de l'atmosphere」

 その本の中にlで示されている、太陽から120°付近で地平線から延びる未知の現象「Arctowski arcs」が記録されている。

 以下のリンクにて、下部ラテラルアークの場所を間違えて記録した可能性があるとも説明されている一方、パリー配向時に似た現象が起こり得ることもシミュレーション上で知られている。


h:22度ハロ 

p:幻日 

c:環天頂アーク 

a:霧虹


Arctowski’s book of optical phenomena in the Antarctic


Romania display


 2006年9月29日、ルーマニアのサロンタにてAttila Kosakissによって観測及びスケッチされた太陽高度12度の時の大気光学現象群。

 

a:左幻日

b:右幻日

c:幻日環

d:22度ハロ

e:上部タンジェントアーク

f:???

g:上部サンベックス型パリーアーク

h:???

i:上部ラテラルアーク/46度ハロ

j:環天頂アーク


 fが環状ローウィッツアーク、hが上部サンケーブ型パリーアークと説明するのが最も合理的ではあるが、写真が存在しないため結論には至っていない。

 (fが28度ハロ、hが35度ハロとも読み取れるが、9度ハロが見えていないこと、35度ハロが濃すぎることが不自然)

 

Unidentified halo display in Romania


Heiden's halo


 1839年12月19日、Heidenが観測した14.12度のハロ。

poggendorff annalen tomc LVI page 633


Hevel's halo, parhelion


 Hevelius halo, parhelionとも呼ばれる、視角半径90度のハロ(NEKDP)と太陽からの方位角90度の幻日(E,D)である。 

 1661年2月20日にdanzigにてJohannes Heveliusによって観測され、1662年に発行された著書「Mercurius in Sole visus」の挿絵(左)、また1663年に発行されたFehlauの本の挿絵(右)に描かれている。

 現在はHevel's haloは映日アーク、Hevel's parhelionは120度幻日だった、という説が有力である。


 ここで(サーキュラー)ハロの大きさの限界を考えてみよう。αはプリズム角、Δminは最小偏角、nは相対屈折率。

 n·sin(αmax/2)=1 ①

sin((α+Δmin)/2)=n·sin(α/2) ②


① 空気と氷のnは1.31であるからαmax=99.5度となる。αmaxより大きいαでは全反射する。

② α=99.5度とするとΔminは80.5度となる。よって現在の理論的には、ハロは半径80.5度以上になることはあり得ない(ちなみに半径50度以上の時点でほぼ見えなくなるくらい薄くなる)。

 ただ、ヘーベルのハロが87度拡散ハロや拡散対日ハロのようなメカニズムの異なるものであれば可能性はある。


Sastatoon 66 degrees parhelion


 1970年12月3日に、カナダのSastatoonにてカーンアークや44度幻日が観測された。その伝説的な観測に敬意を示しSastatoon displayと呼ばれている。

 1972年6月の気象学雑誌Weatherに、その時の記録としてW. F. J. EvansとR. A. R. Trickerによって寄稿された「Unusual arcs in Sastatoon halo display」の図のBが問題である。66度幻日(44度幻日の二次22度幻日、つまり三次22度幻日)と考えられるが、残念なことに写真は無い。


The Saskatoon halo display


Blake's Antarctic displays

 1958-59の南極にてJ. R. Blakeによって観測された様々なディスプレイ。スケッチのいくつかには未知の現象が記録されている。


 二枚目の画像には、太陽からの方位角90度のところに謎の現象があり、ヘーベルの幻日・ハロの可能性がある。また、天頂付近にも謎のアークがあり、記録では色が付いていたとのことから太陽アークではないと考えられている。

 

 三枚目の画像には1、2、3で示される謎のアークがある。1は太陽アークだと分かるが、それとほぼ同じ軌跡で一回り大きく幻日を貫く2は映日アークだろうか。3は1と接していることから対日アークと考えられるが、向日を貫いていることが謎である。